




高層ビルが続く江南で、朝鮮王陵の森へ空気がすっと切り替わる場所が宣陵・靖陵です。成宗と貞顕王后、中宗の三つの陵をたどりながら、背の高い木々に囲まれた道を歩けるのがいちばんの魅力。宮殿の華やかさより、祭祀空間の静けさと都心の緑を味わいたい日に似合います。
三つの陵が残る、江南の世界遺産
宣陵・靖陵は、ユネスコ世界遺産「朝鮮王陵」を構成する王陵群のひとつです。宣陵には朝鮮王朝第9代・成宗と第三王妃の貞顕王后、靖陵には第11代・中宗が眠っています。韓国では二つをまとめて「ソンジョンヌン」と呼ぶこともありますが、園内では三つの陵がそれぞれ異なる丘に置かれています。
成宗は王朝の基本法典『経国大典』を頒布し、儒教を軸とした統治制度を整えた王です。その成宗と貞顕王后の陵を一つの祭祀空間にまとめながら、陵寝は別々の丘に築いたのが宣陵の特徴。中宗の靖陵は単独の陵で、もとは別の場所にありましたが、1562年に現在地へ移されました。
ここは建物が密集した遺跡ではありません。紅箭門、祭祀のための丁字閣、陵寝、その間をつなぐ道が広い森の中に点在しています。史跡を見ることと散歩することが分かれておらず、歩くほど王陵の構成が少しずつ見えてくる場所です。

宣陵では石像の細部まで見てみたい
宣陵の入口となる紅箭門をくぐると、香路と御路が丁字閣へ向かってまっすぐ伸びています。まず低い場所に祭祀空間があり、その奥の丘に陵寝を置くという朝鮮王陵の基本的な配置が分かりやすく、初めて王陵を見る人にも構造をつかみやすいエリアです。
成宗の陵寝には脇の観覧路から近づくことができ、丘の上に並ぶ文官・武官像や動物の石像、封土を囲む石造物を観察できます。丁字閣の正面から見上げるだけで終わらせず、案内された観覧路をたどると、下からは分かりにくい石像の大きさや配置まで見えてきます。
貞顕王后の陵寝は成宗陵とは別の丘にあります。夫婦の陵を同じ区域に置きながら異なる丘に築く「同原異岡陵」の形で、二つを見比べること自体が宣陵の見どころです。陵寝の間には木立の濃い道が続くため、建築だけを追うより、地形と森を含めて一つの王陵として見ると印象が深まります。


靖陵は、近づけない距離も含めて見る
中宗を祀る靖陵は、一人の王を一つの丘に葬った単陵です。丁字閣の背後に陵寝のある丘が立ち上がり、正面から祭祀空間と陵墓の関係を見渡せます。宣陵とは配置の印象が異なるため、両方を見ると王陵がすべて同じ形ではないことが分かります。
ただし、靖陵の陵寝は宣陵のように間近まで上がれません。丁字閣周辺など一般の観覧路から、丘の上の封土や石造物を遠くに見る形になります。石像の細部を観察したいなら宣陵を中心に、建物と丘が重なる全体像を見たいなら靖陵にも足を延ばす、と考えると期待とのずれがありません。

春の花から冬の松まで、森を歩く楽しみ
王陵を囲む森は、宣陵・靖陵を歴史好きだけの場所にしないもう一つの主役です。外側には江南のビル街が広がっていますが、園内へ入ると大きく育った木々と土の道が視界を占めます。散策路はよく整えられ、途中には腰を下ろせるベンチもあります。
春は桜やレンギョウ、ツツジなどが道沿いを彩り、夏は葉が茂った木々の下を歩けます。秋はイチョウやカエデの色づき、冬は松と葉を落とした木々がつくる静かな景色が中心です。開花や紅葉の時期は天候で変わるものの、季節によって同じ道の表情が大きく変わります。
紅箭門の赤、丁字閣の屋根、芝に覆われた陵寝、背の高い木々が一つの画面に入り、写真を撮る場所も見つけやすいです。個人の記念撮影はできますが、キャラクター衣装など特殊な衣装や大型の小道具を使う撮影には事前許可が必要。ドローン撮影も許可対象が限られています。


全部巡るなら、移動量と坂道を先に考える
入口を抜けると道が宣陵側と靖陵側へ分かれ、その先にも複数の散策路があります。三つの陵を丁寧に見ると歩く範囲は思った以上に広く、一部には坂や階段もあります。道そのものは管理されていますが、短い寄り道のつもりで全域を回ろうとすると慌ただしくなりがちです。
最初に歴史文化館へ立ち寄ると、誰の陵なのか、宣陵と靖陵の構成がどう違うのかを整理してから歩けます。その後は、陵寝の石像を近くで見られる宣陵を優先するか、入口側から靖陵を見て森の道へ進むかを体力に合わせて選べます。歩行に不安がある場合は、すべての分岐を回ろうとせず、歴史文化館と丁字閣を軸に範囲を絞ると無理がありません。
普段は落ち着いて歩きやすい一方、平日の昼休みには周辺で働く人の散歩が増えます。できるだけ静かに見学したい場合は、この時間帯を外すのが一つの選択です。


早朝散歩から史跡巡りまで、季節で時間が変わる
外国人旅行者の一般料金は19〜64歳が₩1,000です。18歳以下と65歳以上の外国人、韓服を着用した人は無料対象になります。年齢による無料制度を利用する場合は、パスポートなど確認できるものを用意しておくと安心です。
開園時間は3〜10月が06:00〜21:00、11〜1月が06:30〜17:30、2月が06:00〜18:00。最終入場はいずれも閉園1時間前です。定休日は月曜ですが、月曜が祝日または振替休日に当たる場合は開園し、次の平日が休園になります。3〜10月は夜まで入れますが、特別なライトアップを前提とした施設ではないため、王陵の細部や森を見たいなら明るい時間を選ぶのが分かりやすいでしょう。
鉄道では宣陵駅10番出口、または宣靖陵駅3番出口が利用できます。専用駐車場は56台分で06:00〜22:00、料金は2時間まで5分₩400、2時間を超えると5分₩600です。酒類やテント、レジャーシート、調理器具は持ち込めず、補助犬を除くペットも同伴できません。

江南でショッピングやカフェ巡りを続ける合間に、街の速度を少し落としたいときに選びやすい場所です。三つの陵を制覇することだけを目標にせず、宣陵の石像、靖陵の全景、森の散歩から興味に合うものを選ぶと、この場所らしい時間を過ごせます。
知っておくと得するコツ
- 全体を見るなら1〜1.5時間ほど確保
- 静かに歩くなら平日の昼休みを避ける
よくある質問
Q. 日本人旅行者の入場料はいくらですか?
A. 外国人は19〜64歳が₩1,000です。18歳以下と65歳以上、韓服を着用した人は無料対象になります。年齢による無料制度を利用する場合は、確認書類を用意してください。
Q. 開園時間と休園日は?
A. 3〜10月は06:00〜21:00、11〜1月は06:30〜17:30、2月は06:00〜18:00です。最終入場は閉園1時間前。月曜休園ですが、祝日・振替休日と重なる場合は開園し、翌平日が休園になります。
Q. 宣陵と靖陵は、どちらも陵寝の近くまで行けますか?
A. 宣陵の陵寝は脇の観覧路から近くで見学できます。靖陵の陵寝には近づけないため、丁字閣周辺など一般の観覧路から遠くに見る形です。
Q. 園内を歩くときの注意点はありますか?
A. 散策路は整備されていますが、三つの陵を巡る範囲は広く、一部に坂や階段があります。歩きやすい靴を選び、移動が難しい場合は歴史文化館や丁字閣を中心に範囲を絞るとよいでしょう。
Q. どの駅からアクセスできますか?
A. 宣陵駅10番出口、または宣靖陵駅3番出口を利用できます。案内される徒歩時間には情報差があるため、出口からは地図アプリで正門を確認してください。
利用案内
- 見どころ・撮影スポット
- 宣陵(成宗・貞顕王后)と靖陵(中宗)、各陵の丁字閣
- 撮影ルール
- 個人の記念撮影は可。特殊な衣装・小道具を使う撮影は事前許可が必要です。ドローン撮影は公的目的など許可対象に限られます。
- 天候による利用条件
- 地震、台風、豪雨、大雪などの際は、全部または一部が公開中止となる場合があります。
- 設備・バリアフリー
- 歴史文化館あり
- 駐車場
- 56台、06:00〜22:00。2時間まで5分₩400、2時間超は5分₩600(入庫後5分無料)
- アクセス
- 宣陵駅10番出口/宣靖陵駅3番出口
- 公式サイト
- 公式サイト ↗
- ペット同伴
- ペット同伴不可。ただし、所定の表示を付けた補助犬は同伴できます。
- 利用ルール
- 酒類、テント、レジャーシート、調理器具などは持ち込めません。
クチコミ
口コミでは、江南のビル街にありながら木立が深く、整備された散策路を静かに歩ける点が高評価です。王陵や歴史文化館、各所の解説も好評。一方、全体を見るには1時間以上かかり、坂や階段が負担になり得ること、靖陵の陵寝を近くで見られないことを惜しむ声が重なっています。
良い点
- 木立の中の散策路が広く整っている
- 都心とは思えない静けさを味わえる
- 王陵の解説表示が分かりやすい
- 季節の花や紅葉を写真に収めやすい
気になる点
- 靖陵の陵寝は遠くからの見学になる
- 全体見学は1時間超で坂や階段もある
こんな人におすすめ
- 歴史散策と森林浴を楽しみたい人
- 静かな場所をゆっくり歩きたい人
- 子どもと朝鮮王陵を学びたい家族
こんな人には不向き
- 短時間で主要部だけ見たい人
- 坂や階段の移動が難しい人
※ NAVERの訪問者レビューをもとに編集部がまとめた内容です。
韓国での口コミ傾向
すべて見る(17件)
※ NAVERの訪問者レビューで多く選ばれたキーワードです。
記事更新 2026.09.26
営業時間・価格の確認 2026年9月
情報は変更される場合があります。訪問前に公式情報もご確認ください。
韓国で、行きたい場所が見つかる。